ドイツ中世農村史の研究
ドイツ中世農村史の研究
20世紀後半に大きな飛躍を遂げた研究ジャンルである中世史のなかでも、「定住史」と呼ばれるものは特筆すべきものがある。地理学、地名学、考古学の緊密な連携によって、農村・耕作地の実態を明らかにした。その研究成果は、国制史や社会史、経済史にも影響を与えた。
目次
序
I ゲルマン古代社会の構造 ドイツ農村社会の原像
一 ゲルマン古代社会構造論の再検討
1 問題の在り方
2 共同体説とその批判
3 領主制説とその批判
4 ゲルマン古代社会の構造
5 結語
二 ゲルマン古代の集落形態・社会経済構造とその変貌
1 はじめに
2 集落形態と社会経済の特性
3 フェダーゼン=ヴィールデの考古学的研究
4 過渡期の研究の展望
II ドイツ中世前期の農村構造 ドイツ農村社会の形成
三 ドイツ中世初期の村落形態と農業
1 はじめに
2 エッシュ村落論
3 原初村落論
4 反論と総括
四 ドイツ中世農村の形成
1 緒論
2 人口増加と分割相続制
3 農業技術の革新とフランク支配
4 教会・修道院の創建と総括
五 ドイツ中世初期の農業技術の革新 いわゆる「中世初期農業革命」
1 リン・ホワイトの農業変革論
2 鉄資源の開発と犂の発達
3 人口の増加
4 三圃制・ゲヴァン制の発展と集村化
5 ホワイト説の評価
六 ドイツ中世農村の発展と人口変動
1 はじめに
2 中世初期の集落人口の増加
3 人口増加の推移
4 人口変動と中世農村
III 中世初期ザクセンの貴族と民衆 ドイツ農村社会の比較地域史への序章
七 中世初期ザクセンの貴族と民衆
1 問題の所在
2 ザクセンの諸身分
3 身分構成の社会経済的基礎
4 結語
八 ステリンガの叛乱の特質
1 はじめに
2 叛乱の概要
3 叛乱の社会経済的基盤
九 中世初期のザクセン社会とステリンガの叛乱
1 問題の所在
2 古ザクセン社会の特質と変動
3 フランクの政治的状況と叛乱
IV 補論 研究動向 ドイツ中世農村史研究の方法と課題
一 中世考古学の課題と展望
1 中世考古学の発展
2 中世考古学の分野と課題
3 中世考古学の課題と展望
二 ゲルマンのジッペに関する研究動向
1 緒論
2 F・ゲンツマーの説
3 K・ハフの説
4 K・クレッシェルの説
5 W・シュレージンガーの批判
三 中世前期ドイツ農村史研究の動向
1 研究方法の変革
2 定住史研究の方法の確立と問題点
3 フランクの軍事的植民と開墾集落
4 集村化現象と経済発展
5 定住考古学の課題と展望
四 ドイツ封建国家成立期の諸問題
1 はじめに
2 古典荘園の発達
3 集村化と都市
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著者
野崎 直治(のざき なおじ)
1924〜2009年。西洋史学者。早稲田大学名誉教授。専門は、西洋中世社会経済史。
早稲田大学文学部西洋史学科卒業、同大学院文学研究科史学修士課程修了。文学博士。
著書に、『ドイツ中世農村史の研究』『ヨーロッパ中世の城』『ヨーロッパ中世史』『ドイツ中世社会史の研究』『ヨーロッパの反乱と革命』(編著)など、
訳書に、アルフォンス・ドプシュ『ヨーロッパ文化発展の経済的社会的基礎』(共訳)などがある。
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