アウグスティヌスの懐疑論批判
アウグスティヌスの懐疑論批判
本商品は「旧ISBN:9784423171158」を底本にしたオンデマンド版商品です。
初刷出版年月:1999/02/01
本書はアウグスティヌスが回心後、最初に着手した初期の代表作で難解をもって知られる『アカデメイア派論駁』の世界でも初の総合的な研究成果であり、研究/翻訳/註解の三分より構成される。アウグスティヌスはアカデメイア派懐疑論の論駁を通して真理論や知識論に関する新たな理解を示したが、著者はそれがヘレニズム期のものともデカルト以降の近代の懐疑論とも異なり、命題の真偽、真理と善という価値をわれわれの生のあり方にどのように位置づけるかに核心があることをはじめて解明した。原著は19世紀以来、デカルト懐疑論との比較や新プラトニズム研究の視点などから考察されてきたが、未だその全体像は明らかになっていない。本書はアウグスティヌスの戦略的論法を読み解いて原著の意図を分析し、真理と行為の問題性を摘出した画期的作品。
【目次より】
まえがき
第1部 『アカデメイア派論駁』研究序説
第1章 『アカデメイア派論駁』の成立
第1節 『アカデメイア派論駁』成立の背景
第2節 『アカデメイア派論駁』の主題
第2章 『アカデメイア派論駁』の真理論
第1節 問題の位置づけと展望
第2節 もう一つの懐疑論批判
第3節 二つの真理観
第2部 『アカデメイア派論駁』
第I巻 (第1章〜第9 章)
第II巻 (第1章〜第13章)
第III巻 (第1章〜第20章)
第3部 『アカデメイア派論駁』註解
第I巻
第1章1〜4節 ロマニアヌス宛て書簡
第2章5〜6節 討論の開始
第2章5節:全体的問題の提示
第2章5〜6節:第I巻の問題の提示
第3章7節〜第4章12節 知者
第3章7〜8節:キケロと懐疑論の紹介
第3章9節:人間のfinis
第4章10〜12節:誤謬の定義
第5章13節〜第8章23節 知恵
第5章13〜15節: 道
第6章16節:知恵の定義
第6章16〜18節: 透視者
第7章19節〜第8章22節: 反論
第8章22〜23節:リケンティウスの知者
第9章24〜25節 結 び
第II巻
第1章1節〜第3章9節 ロマニアヌス宛て書簡
第4章10節〜第6章15節 アカデメイア派の紹介
第4章10節:設定
第5章11〜12節:アウグスティヌスによるアカデメイア派の紹介
第6章14〜15節:アリピウスによるアカデメイア派の紹介
第7章16節〜第8章21節 ジュニアメンバーとの討論
第7章16節〜第8章21節:父親似のたとえ
第9章22節〜第13章30節 シニアメンバーの討論
第9章22節〜第10章24節:第1の批判
第11章25節〜第12章28節:第2の批判
第13章29〜30節:確認
第III巻
第1章1節〜第2章4節 序
第1章1節:導入
第1章1節〜第2章4節: fortuna
第3章5節〜第6章13節 シニアメンバーの討論(その2)
第3章5〜6節:問題の提示
第4章7〜10節:自分は知っていると思う
第5章11節〜第6章13節:assensio
第6章13節:締めくくり
第7章14節〜第9章21節 連続講話
第7章14節:モノローグの導入
第7章15節〜第8章17節:アカデメイア派の評判
第9章18〜21節:ゼノンの定義
第10章22節〜第13章29節 認識
第10章22節:カルネアデス登場
第10章23節〜第11章26節:自然学
哲学者の不一致 感覚・夢・狂気
第12章27〜28節:倫理学
第13章29節:論理学
第14章30節〜第16章36節 同意と行為
第14章30〜32節:知者の同意
第15章33節〜第16章35節:probabile と行為論
第16章35〜36節:姦淫のたとえ
第17章37節〜第20章45節 哲学史と結び
第17章37節〜第19章42節:二世界論と隠匿説
第20章43節:権威と理性
第20章44〜45節:結び
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著者
部 由紀子(オカベ ユキコ)
美学者、哲学者。熊本保健大学教授。東京大学文学部卒業、同大学院人文科学研究科修士課程修了(美学・藝術学)。文学博士(慶応大学)。
著書に、『アウグスティヌスの懐疑論批判』など、
訳書に、ハンス・ベルティング『マックス・ベックマン 近代芸術における伝統の問題』
マルテキン・バルンケ『クラーナハ“ルター” イメージの模索』などがある。