哲学とは何か
哲学とは何か
「本書は『哲学とは何か』という柔らかい書名になっているが、必ずしもやさしい入門の書というわけではない。本書は前篇と後篇の二部からできている。前篇の方は著者の考える哲学を概説したもので、入門書の意味をもつものであるが、後篇は専門学究の徒を念頭において書いたもので、西洋哲学史と仏教史の相当の知識を前提に執筆されている。・・・
著者は自分の哲学の概念を正統のものと確信しているのであるが、哲学を科学と同次元のものとする傾向の強い一部の考え方からは、直ちに理解されないだろう。プラトン哲学、カント哲学という風に、哲学に固有名詞が付せられるには必然的な意味があり、哲学の真理の複数多元性は哲学という学問に固有のものであると考える。この哲学的真理の多元性という事態を如何に処理すべきかは、著者が哲学に参入して以来の課題となり、この課題はいつも念頭より去ることがなかった。」(「序」より)
【目次】
前篇 哲学概説
第一章 哲学とは何か
第二章 哲学的精神
第三章 哲学の存在理由
第四章 世界観と哲学
第五章 実在と認識
第六章 科学と哲学 その一 自然科学の問題
第七章 科学と哲学 その二 社会科学の問題
第八章 技術哲学
第九章 文化哲学
第十章 社会哲学
第十一章 政治哲学
第十二章 歴史哲学
第十三章 哲学と道徳
第十四章 哲学と宗教
第十五章 論理学の課題 その一 科学的論理と形而上学的論理
第十六章 論理学の課題 その二 弁証法的論理と場所的論理
第十七章 理想主義の哲学
第十八章 汎神論の哲学
第十九章 実存主義の哲学
後篇 理性・精神・実存 理想主義・汎神論・実存主義の内面的聯関
第一章 理性・精神・実存の概念と問題の提示
第二章 ドイツ唯心論とその崩壊後に於ける問題の展開
第三章 問題の顕示 理性より精神へ、精神より実存へ
第四章 ギリシア哲学と、その没落期に於ける問題の展開
第五章 印度・中国・日本の仏教に於ける問題の展開
第六章 問題の第一次的整理
第七章 新しき問題の提出と展開
第八章 問題の究極的整理
第九章 哲学的論理の問題
人名索引
事項索引
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著者
高山 岩男(こうやま いわお)
1905ー1993年。哲学者。京都帝国大学文学部哲学科卒。京都学派の全盛期に学ぶ。文学博士。京都帝国大学文学部教授ののち、神奈川大学、日本大学などで教鞭をとり、秋田経済大学学長を歴任。
著書に、『西田哲學』『ヘーゲル』『續 西田哲學』『文化類型學研究』『世界史の哲學』『日本の課題と世界史』『所の論理』『哲学と哲学的実存』『マルクシズムの超克』『場所的論理と呼応の原理』『道徳の危機と新倫理』『宗教はなぜ必要か』『二つの世界に抗して 文明の破局と人類の対決』『現代の不安と宗教』『道徳とは何か 倫理学入門』『国際的中立の研究』『現代の政治・社会思想 社会科における取扱いに関連して』『哲学とは何か』『教育と倫理』『実存哲学』『政治家への書簡 正・続』『西田哲学とは何か』『京都哲学の回想 旧師旧友の追憶とわが思索の軌跡』『高山岩男著作集』(全6巻)『西田幾多郎研究資料集成 第1・2巻 高山岩男集』など多数ある。
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