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学生の歴史

学生の歴史

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「学生は時代を象徴する。
(略)
幕末より明治劈頭の近代日本形成期において、彼等は、正に崩壊に瀕した封建的権力の強圧と植民地化の野望を蔵した欧米諸国の重圧の中にあって、これにプロテストすべく闘ったのであり、その後の近代国家としての日本が、目ざましい発展を遂げつつあるときは、常にその発展の先駆けをなした。
この時代の学生は、いわば日本の資本主義の隆盛に赴く途上におけるチャンピオンであり、正に「よき時代」の「よき学生」であった。すなわち彼らは外国文化の担い手として、新しい国家の官僚として、インテリゲンチャとして、資本主義社会の指導者として生長し、特権階級として尊敬された。しかし大正期に入ると、日本の資本主義に行き詰まりを生じ、ここに社会が二つの階級に分裂し、この分裂とともに学生の悩みも深刻となった。更に昭和期に入るや、この資本主義の行き詰まりは、いよいよ軍国主義を喚起し、軍閥による強大な圧力の前に、遂に彼等のレジスタンスもむなしいものとなってきた。
思えば昭和二十年をどん底として、その前後数年間、学生は全く戦争の犠牲となって、灰色にぬりつぶされた青春を送った。そして終戦後においては、急激に過去数年間の真空圏内の生活から、自由の大地におし出され、却って自己を喪失したかの如く、的確な目標もつかみ得ないままに、或いは虚無的、享楽的となり、或いは哲学に人生のよりどころを見出そうとし、或いは社会科学研究にと、暗中に手探りしつつ、自己の主体性を得ようと歩んで来た。
(略)
学生生活の実態を明らかにしようと意図した本書においては、多くの回想録や自伝を取り入れて、当時を語らしめた。また、す半を挿入して、その情景を髣髴させようとした。その他聞き書きを入れてより具体化しようと試みた。」

【目次】

I 藩政末期の学生
II 明治前期の学生
III 明治中期の学生 近代学生の成立
IV 明治三十年代の学生
V 女子学生の登場
VI 日露戦争以後及び大正期の学生
VII 資本主義の発達と技術学生・実業学生
VIII 経済界の変動と入学競争率・就職率
IX 昭和初期における就職難と学生思想問題
X 戦時下の学生
XI 戦後の学生
XII 新しい学生像樹立のために
学生に関する年表
参考文献
索引


著者
唐沢 富太郎(からさわ とみたろう)
1911ー2004年。教育学者、東京教育大学名誉教授。東京文理科大学卒。東京教育大文学博士。専門は、日本教育史。
著書に、『親鸞の人間観・教育観』『親鸞・道元・日蓮』『人間形成の宗教的基礎としての愛の哲学』『ナトルプの社会教育学』『人間性・運命・宗教』『日本教育史』『中世初期仏教教育思想の研究 特に一乗思想とその伝統に於いて』『学生の歴史 学生生活の社会史的考察』『教師の歴史 教師の生活と倫理』『教科書の歴史 教科書と日本人の形成』『日本人の履歴書 三代の人間形成図』『新しい道徳教育の創造 豊かな人間性に即して』『日本の女子学生 三代女子学生の青春譜』『目で見る世界の教科書』『現代に生きる教育の叡智 人間の再発見』『教科書から見た世界の教育(全3巻)』『親鸞の世界 親鸞の宗教的人間像』『あすの日本人 期待される人間像』『世界教育風土記 見てきたヨーロッパ・アメリカの教育』『日本から見た世界の教育 教科書と人間像』『理想の人間像 各国の教科書にみる』『おかあさんの知恵 家庭教育への提言』国『親鸞』『日本人の叡知』『図説近代百年の教育』『日本人の履歴書 明治100年の人間形成』など。

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