平治物語 全訳注
平治物語 全訳注
◆重要◆
【表紙のデザインについて】
・この本の表紙は、
商品画像2枚目にあるサンプルと同様の
統一フォーマットになります。
【内容紹介】
壊滅的な打撃を受けた源氏とこの世の春を謳歌する平氏——。やがて『平家物語』へとつづく、一族の明暗を分かつことになった平治の乱を題材にした『平治物語』の諸本のうち、劇的に構成された合戦や、個性を際立たせた巧みな人物造形が、流麗な文体によって描き出される四類本は、「もっとも面白い『平治物語』」と言われる。
この四類本を底本に、本文と現代語訳に加え、校訂注、読解の助けとなる語釈と解説、補注も充実した、物語世界の隅々まで楽しめる一冊。
悪源太義平がわずか17騎で、500騎の平氏を蹴散らす痛快な合戦、牛若丸ら幼い息子を必死で守ろうとする常葉の哀切、そして運命の子頼朝……。個性豊かな登場人物が縦横無尽に躍動する合戦絵巻、いざ開幕!
時は平安時代の末、のちに「武者の世」の始まりと評された保元の乱から三年後、平治元年(1159)に平治の乱は勃発する。上皇・天皇の近臣同士の争いに端を発する政治闘争は、待賢門と六波羅での源平両軍の激突となって噴出した。その結果、源氏の棟梁である源義朝が敗走。東国へと落ち延びる途中で討たれ、子息たちも命を落とし、源氏は壊滅的な打撃を受ける。一方、見事勝者となった平清盛はこの世の春を迎え、それぞれの一族の明暗が決定的に分かれることになった——。
『平家物語』の舞台を用意したともいえる平治の乱を題材とした軍記物語、『平治物語』。時代を越えて語り継がれるうちに、筋立てが異なる異本が複数存在することもこの物語の大きな特色の一つである。そのなかでも、本書が底本とした「四類本」は、劇的に構成された合戦や、個性を際立たせた巧みな人物造形が、流麗な文体によって描き出される「もっとも面白い『平治物語』」になっている。本文と現代語訳に加え、校訂注、読解の助けとなる語釈と解説、補注も充実した、物語世界の隅々まで楽しめる。
義朝の息子、悪源太義平がわずか17騎で、500騎の平氏を蹴散らす痛快な合戦、義平とは対照的に不甲斐なくて滑稽な藤原信頼、牛若丸ら幼い息子を必死で守ろうとする常葉の哀切、そして運命の子頼朝の姿……。個性豊かな登場人物が縦横無尽に躍動する合戦絵巻、いざ開幕!
*本書は訳し下ろしです。
【目次】
上 巻
序
信頼・信西不快の事
信頼信西を亡ぼさるる議の事
三条殿へ発向付けたり信西の宿所焼き払ふ事
信西の子息尋ねらるる事付けたり除目の事并びに悪源太上洛の事
信西出家の由来并びに南都落ちの事付けたり最後の事
信西の首実検の事付けたり大路を渡し獄門に梟けらるる事
唐僧来朝の事
叡山物語の事
六波羅より紀州へ早馬を立てらるる事
光頼卿参内の事并びに許由が事
信西の子息遠流に宥めらるる事
清盛六波羅上著の事并びに上皇仁和寺に御幸の事
主上六波羅へ行幸の事
源氏勢汰への事
中 巻
待賢門の軍の事付けたり信頼落つる事
義朝六波羅に寄せらるる事并びに頼政心替りの事
六波羅合戦の事
義朝敗北の事
信頼降参の事并びに最後の事
謀叛人流罪付けたり官軍除目の事并びに信西子息遠流の事
義朝奥波賀に落ち著く事
下 巻
頼朝奥波賀に下著の事
義朝内海下向の事付けたり忠致心替りの事
金王丸尾張より馳せ上る事
長田六波羅に馳せ参る事付けたり尾州に逃げ下る事
悪源太誅せらるる事
頼朝生捕らるる事付けたり夜叉御前の事
頼朝遠流に宥めらるる事付けたり呉越戦ひの事
常葉落ちらるる事
常葉六波羅に参る事
経宗・惟方遠流に処せらるる事同じく召し返さるる事
悪源太雷となる事
頼朝遠流の事付けたり守康夢合せの事
補 注
地 図
■
訳者
谷口 耕一(たにぐち・こういち)
1947年生まれ。千葉大学人文学部人文学科卒業。専門は,日本中世文学。編著に『校訂 延慶本平家物語』第三巻、第九巻などがある。
訳者
小番 達(こつがい・とおる)
1967年生まれ。千葉大学大学院社会文化科学研究科博士課程修了。現在,名桜大学教授。専門は,日本中世文学。共編著に『校訂 延慶本平家物語』第8巻、『完訳 太平記』全四巻などがある。