日本永代蔵 全訳注
日本永代蔵 全訳注
◆重要◆
【表紙のデザインについて】
・この本の表紙は、
商品画像2枚目にあるサンプルと同様の
統一フォーマットになります。
【内容紹介】
金銀でかなわぬものは、命だけ——あらゆる欲に取り巻かれた新興町人たちの、おかしくもどこか悲しい群像劇。まじめ過ぎる商人、ドラ息子、度を越したケチたちが、人生の何たるかを教えてくれる。井原西鶴が貞享五年(1688)四十七歳で遺した、この町人物の大傑作にして蓄財指南の書は、江戸時代を通してベストセラーとなる。
親譲りの始末屋があっさり色に溺れ、越後屋が現金掛け値なしの新ビジネスを始め、大借金をして勘当を喰らった二代目は物乞いに説教され——。その才覚や商魂、あるいは始末倹約で分限者への道を切り開く者。怠惰や驕慢、あるいは贅を尽くした遊興でわかりやすく破産へと転げ落ちる者。好運に恵まれる者、不運に苛まれる者。元禄の世を迎えんとする日本では、発達する貨幣経済のなかで苦闘し、我が身の浮き沈みに翻弄される人々のドラマが繰り広げられていた。
*本書は訳し下ろしです。
【目次】
巻一
初午は乗てくる仕合/二代目に破る扇の風/浪風静に神通丸/昔は掛算今は当座銀/世は欲の入札に仕合
巻二
世界の借屋大将/怪我の冬神鳴/才覚を笠に着る大黒/天狗は家な風車/舟人馬かた鐙屋の庭
巻三
煎じやう常とはかはる問薬/国に移して風呂釜の大臣/世はぬき取の観音の眼/高野山借銭塚の施主/紙子身袋の破れ時
巻四
祈るしるしの神の折敷/心を畳込古筆屏風/仕合の種を蒔銭/茶の十徳も一度に皆/伊勢ゑびの高買
巻五
廻り遠きは時計細工/世渡りには淀鯉のはたらき/大豆一粒の光り堂/朝の塩籠夕の油桶/三匁五分曙のかね
巻六
銀のなる木は門口の柊/見立て養子が利発/買置は世の心やすい時/身体かたまる淀川のうるし/智恵をはかる八十八の升掻
解説
江戸時代の貨幣と経済
■
著者
井原 西鶴(いはら・さいかく)
1642(寛永19)年〜1693(元禄6)年。大坂の町人の子。俗名平山藤五。江戸前期の俳人・浮世草子作者。俳人としては西山宗因に師事。1862(天和2)年『好色一代男』刊行以来、『西鶴諸国はなし』『好色五人女』『好色一代女』『世間胸算用』など代表作の多くは、のち浮世草子として文学史上の一大概念として確立される。
訳者
矢野 公和(やの・きみお)
1943年東京都生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修了。文学博士。元東京女子大学教授。著書に『虚構としての『日本永代蔵』』(笠間書院)。
訳者
有働 裕(うどう・ゆたか)
1957年兵庫県生まれ。東京学芸大学大学院教育学研究科国語科教育専攻修了。教育学修士。愛知教育大学教授。著書に『これからの古典ブンガクのために—古典教材を考える』(ぺりかん社)『西鶴はなしの想像力—『諸艶大鑑』と『西鶴諸国ばなし』』(翰林書房)『西鶴 闇への凝視—綱吉政権下のリアリティー』(三弥井書店)『「源氏物語」と戦争—戦時下の教育と古典文学』(インパクト出版会)ほか。
訳者
染谷 智幸(そめや・ともゆき)
1957年東京都生まれ。上智大学大学院博士前期課程修了。文学博士。茨城キリスト教大学文学部教授。専門は日本文学(江戸)、日韓比較文学。著書に『男色を描く:—西鶴のBLコミカライズとアジアの〈性〉』(共著、勉誠出版)『冒険・淫風・怪異—東アジア古典小説の世界』(笠間書院)『西鶴小説論—対照的構造と「東アジア」への視界』(翰林書房)ほか。