興隆期のパクス・ブリタニカ 一つの歴史認識論
興隆期のパクス・ブリタニカ 一つの歴史認識論
ナポレオン戦争後から第一次世界大戦までの100年間、イギリスは「世界の工場」として、世界経済を牽引し、大英帝国として「世界の警察」として、世界平和を実現した。産業革命、資本主義の発展、海軍力と海運力で、英国はどうやって総人口4億人の大帝国を築くことができたのかを解き明かす。
【目次】
まえがき
第一章 第二代リヴァプール伯と自由貿易
第一節 経済観と政治システム
第二節 穀物法廃止の萌芽
むすび
第二章 リチャード・コブデンと自由貿易運動
はじめに
第一節「横の線のイメージ」の形成
一 パーソナリティ
二 アメリカ
三 ロシア
第二節 反穀物法協会(同盟)の成立
一 組織・運動
二 妥協
第三節 穀物法の廃止
一 最後の努力
二 勝利
(一)閣議
(二)議会
むすび
第三章 リチャード・コブデンとクリミア戦争
第一節 「自由放任」と平和
第二節 参戦の阻止
第三節 不干渉
むすび
第四章 リチャード・コブデンと英仏通商条約(一八六〇年)
第一節 背景
第二節 交渉
第三節 遅引
むすびにかえて 妥結
第五章 ジョン・ブライトと南北戦争
はじめに
第一節 状況と反応
第二節 トレント号事件
第三節 戦争と綿花
第四節 アラバマ号事件
むすび
第六章 グラッドストーンと植民地
第一節 植民地の保全 求心的イメージ
一 奴隷制
二 移民
三 自治
第二節 植民地の分離 遠心的イメージ
一 オーストラリア自治政府
二 自治植民地からのイギリス軍の撤退
むすびにかえて 求心的イメージの再現
第七章 サー・チャールズ・ディルクと英帝国
はじめに
第一節 イギリス・アメリカによる支配
第二節 遠心的イメージ
第三節 求心的イメージ
むすびにかえて 帝国統合のイメージ
あとがき
事項索引・人名索引
参考文献
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著者
坂井 秀夫(さかい ひでお)
1924〜2008年。関西学院大学教授、専修大学教授。東京大学法学部卒業。専門は、近代ヨーロッパ政治外交史。著書に『イギリス・インド統治終焉史』『興隆期のパクス・ブリタニカ』『現代イギリス政治外交論』『英帝国滅亡の一断面』『戦後イギリス労働党政治の一素描』などがある。