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英雄伝

英雄伝

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◆重要◆
【表紙のデザインについて】
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【内容紹介】
本書の著者コルネリウス・ネポス(前100頃-前25年頃)について、その詳細はほとんど知られていない。北イタリアのティキヌム(現在のパヴィア)周辺に生まれたと考えられ、ローマが内乱状態に突入する中で、キケロ(前106-前43年)と手紙のやり取りをし、アッティクス(前110-前32年)と深交を結んだほか、詩人カトゥッルス(前84頃-前54年頃)はみずからの詩集『カルミナ』をネポスに献呈している。生涯の大部分をローマで過ごしたが、政治には参加せず、もっぱら文筆業に勤しんだことが推測できるにすぎない。
他の著作家たちによる言及から、ネポスがものした著作には、世界史の概略を語った『年代記(Chronica)』、古来伝わる著名人の言行や逸話を集めた『範例集(Exempla)』のほか、『カト伝』、『キケロ伝』などがあったことが知られるが、これらはすべて失われ、今日残っているのは、さまざまな分野で活躍した偉人たちの生涯を集成した『著名な人物について(De uiris illustribus)』(前35/34年)と呼ばれる著作の一部のみである。それが『英雄伝』の名で親しまれている本書にほかならない。
本書におけるネポスの記述は、取り上げられる英雄たちをもっぱら賞賛する点に加え、彼らの性格を照らし出すエピソードを紹介しつつ、そこから倫理的教訓を導き出す点に特徴がある。これは歴史書というより伝記文学の系譜に属するものであり、対象を賞賛する姿勢と矛盾しない形で、あるいはその賞賛をより引き立たせる効果を狙って主人公の短所や悲運に言及することで、いつの世にも変わらぬ人間精神の愚鈍さ、例えば名誉心や権力欲といったものの実相に読者の目を向けさせる効果をもつ。英雄たちがたどった波瀾万丈な人生をたどる楽しみにとどまらず、古典としての教えに満ちた作品を初の文庫版でお届けするものである。

【目次】
序 文
一 ミルティアデス
二 テミストクレス
三 アリステイデス
四 パウサニアス
五 キモン
六 リュサンドロス
七 アルキビアデス
八 トラシュブロス
九 コノン
一〇 ディオン
一一 イピクラテス
一二 カブリアス
一三 ティモテオス
一四 ダタメス
一五 エパメイノンダス
一六 ペロピダス
一七 アゲシラオス
一八 エウメネス
一九 ポキオン
二〇 ティモレオン
二一 諸王について
二二 ハミルカル
二三 ハンニバル
二四 カ ト
二五 アッティクス
断 片
訳者解説
固有名索引


著者
コルネリウス・ネポス(コルネリウス ネポス)
前100頃-前25年頃。古代ローマの作家。まとまった形で現存する著作は本書のみ。


山下 太郎(やました・たろう)
1961年生まれ。主な訳書に、キケロー『神々の本性について』ほか。


上村 健二(かみむら・けんじ)
1963年生まれ。主な訳書に、クルティウス・ルフス『アレクサンドロス大王伝』(共訳)。

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