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鎮魂曲

鎮魂曲

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「作家にはいつも人生の大きな問題で騒がしい言をたてる人があり、また好んで身辺さじに眼をとめて、さりげなくかたるタイプがある。そんないわば小さい作家の小さい作品にしばしば私たちが深く心を動かされるというのも、つまり私たちがパスカルのいう葦の葉で、ささやかな人生の悲喜にもうち砕かれたり、心おどらせたりする存在だからにちがいない。結城君はこのささやかなものを大切にし、その一本一本の糸をたどり織りあわせて、入念で美しい人生図を浮上させる名人だ。見かけはあくまで燻銀のように光を沈めて典雅ななかに、時の思いがけないパセテッィクな慟哭を迸らせるものがあるのは、氏が熱い浪漫家の夢を心の奥に秘めていて、いつもつねに死と隣り合いで住んでいるからであろう。一行一行を遺書のつもりで書くことはこの作家の戒律であるらしい。この寡作の良心の作家の久しぶりに世に問う作品集が少しでも多くの人の眼に触れることを願わずにいられない」(底本・オビより)

【目次】
「鎮魂曲」
「湖畔」
「夜の庭」
「インドネシアの空」
「木蓮」
あとがき


著者
結城 信一(ゆうき しんいち)
1916ー1984年。作家。早稲田大学英文科卒。
著書に、『青い水』『鶴の書』『鎮魂曲』『夜明けのランプ』『夜の鐘』『萩すすき』『文化祭』『作家のいろいろ』『空の細道』『石榴抄』『不吉な港』『犀星抄』『結城信一全集(全3巻)』『セザンヌの山』『結城信一 評論・随筆集成』などがある。

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