音楽教程
音楽教程
◆重要◆
【表紙のデザインについて】
・この本の表紙は、
商品画像2枚目にあるサンプルと同様の
統一フォーマットになります。
【内容紹介】
古典的学識に通じ『哲学の慰め』『算術教程』などを著した「最後のローマ人」ボエティウス。その著作群は大きく4つに分けられる。数学的諸学科に関する教育的作品、アリストテレス、キケロ、ポルフュリオスなどの著作の翻訳と注釈、キリスト教神学の哲学的考察、そして最後に『哲学の慰め』。『音楽教程』は第一期に属するもので、ピュタゴラス以降の音楽理論を総覧し詳述しており、後世とくに中世〜18世紀までの西洋音楽理論に絶大な影響力を維持していた。「協和・不協和」「音程と旋律」「オクターヴ」「5度」「4度」「全音」「半音」など、音の性質を体系立てたことの意義は大きい。オクターヴの完璧さは何に由来するのか、5度、4度の協和が「完全」である理由は何なのか、また、半音は本当に全音の「半分」なのか、あるいは、旋法の構造はどのようなものなのか。
聴覚に甘美に響くことが音楽の起源ではあるにせよ、そこに判断のすべてを任せる姿勢を批判し、強調されるのは最終的な完全性と認識は理性に存するという一点である。そのうえで探求されるのは、音程あるいは協和音に関する数学的解明であり、モノコルドの弦長を二分割、三分割、四分割……と計算を尽くす方法で「数比」の重要性を明確にし、音程の根拠を示すこと。1500年ほども前に形作られたこの理論の骨子は、音響科学などの知見をもって近代の音楽理論が挑んだ刷新の試みにも完全に克服されたとは言えず、いまだに西洋音楽の基盤をなすものである。
本書は、19世紀のラテン語版刊行物を底本とし、英・仏・独・露語版を参照して翻訳した初めての日本語版である。
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著者
ボエティウス(ボエティウス)
480年頃ローマ貴族の家庭に生まれる。ギリシャ哲学などに関する文献を渉猟、後に元老院議員として国政にも参与。政敵からの告発により死刑判決を受け、524年没。古典的学識に通じ『哲学の慰め』『算術教程』などを著した。後世「最後のローマ人」とも「最初のスコラ学者」とも称される。
訳
伊藤 友計(いとう・ともかず)
1973年生まれ。東京外国語大学卒業後、東京藝術大学卒業。文学博士(東京大学)、音楽学博士(東京藝術大学)。
『西洋音楽の正体』(講談社選書メチエ)、著書に『西洋音楽理論にみるラモーの軌跡——数・科学・音楽をめぐる栄光と挫折』(音楽之友社)、訳書に『自然の諸原理に還元された和声論』(ラモー著、音楽之友社)、「音楽のオクターヴの規則による伴奏と作曲による論考」(カンピヨン著『音楽を通して世界を考える』所収、東京藝術大学出版会)など。
現在、明治大学非常勤講師。